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記事一覧

ドリアン助川 世界的ロングセラー 『あん』

 樹木希林の最後の主演作『あん』には、原作がある。ドリアン助川の『あん』(ポプラ文庫)。世界的ロングセラーで、日本だけで14万部突破。 フランスでDOMITYS文学賞受賞! ドイツ、韓国、台湾、イギリスで出版。イタリア、ベトナム、タイ、中国、レバノン、ポーランドでも続々刊行予定。世界11言語で翻訳。 物語は、町の小さなどら焼き店に働き口を求めにやってきたのは、徳江という名の高齢の女性だった。徳江の作る「あん」...

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横山秀夫 著者渾身の傑作 『クライマーズ・ハイ』

 昨日は、日航機123便墜落の日。横浜秀夫の傑作『クライマーズ・ハイ』の書評。 後藤正治「解説」より抜粋。昭和60年8月12日、御巣鷹山で未曾有の航空機事故が発生した。その日、衝立岩への登攀を予定していた地元紙・北関東新聞の遊軍記者、悠木和雅は全権デスクに指名される。 はたして墜落地点は群馬か、長野か。山に向かった記者からの第一報は朝刊に間に合うのか。ギリギリの状況の中で次々と判断を迫られる悠木。 一方で...

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朝日新聞絶賛のベストセラー 飯塚訓 『墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便』

 また、あの夏がやってくる。著者の飯塚訓(いいづか・さとし)は、1985年、高崎署刑事官在職時に、日航機墜落事件が発生。身元確認班長に任命される。 520人、全遺体の身元確認までの127日を最前線で捜査にあたった責任者が切々と語る貴重な本だ。人間の極限の悲しみに溢れている。 私は、愛する肉親を失った数千人の遺族の究極の悲しみの場に立ち会った。どれもが、私の記憶の奥底に永遠に封じこめておきたい凄惨(せいさん)...

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大石芳野 『夜と霧は今』 アウシュビッツ強制収容所

 囚人の髪の毛で作った毛布。 主に女性が入れられていた収容所。 蚕棚式に三段ベッドが並び、600人から1200人が収容されていた木造バラック。 囚人用のトイレ(左)。人間の尊厳が失われた、極限の生活だっただろう。 黒々と書かれた「働けば自由になる」の門をくぐって、囚われの身になる。有刺鉄線の至る所に「近寄ると危険」の文字と骸骨絵の看板が立っていた。 シャワー室では、「生」に区分された人が消毒され、死に区...

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吉岡忍 『日本人ごっこ』〜日本人になりすましたタイの少女〜

 筆者の吉岡忍は、新聞の切り抜き一枚だけを持って、猛暑のバンコクに降り立った。 日本人になりすました少女が首都・バンコクに出没した——。少女は、タイ駐在の日本大使の娘ユウコと名乗った。タイでも放映されていた「おしん」の主演女優の田中裕子の名を借りたのだ。 本名はカンティア・アサヨット。小学校を卒業したばかりの14歳だった。 ある日、バンコク郊外にあるスポーツ・スタジアムに現れた彼女は、人のよさそうな管...

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上坂冬子 『東京ローズ 戦時謀略放送の花』

 上坂冬子の著作で、もう一人、忘れ得ぬ女性がいる。それが“東京ローズ”こと、アイバ・戸栗郁子だ。 東京ローズとは、日系二世のアメリカ人女性である。父親は山梨県出身であった。 太平洋戦争勃発の寸前にたまたま、日本に来日していたのがもとで、マザー・タン(母国語)として、英語が話せるとして、戦時心理作戦の一つだった謀略放送の要員として、日本軍に採用されたのだ。当時、二十五歳。“異国”で孤立した彼女としては、...

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上坂冬子 『男装の麗人 川島芳子伝』

 戦争で人生を翻弄された人物を、綿密な取材でもって、ノンフィクションにする上坂冬子。 すべてと言っていいほど愛読しているが、『男装の麗人 川島芳子伝』は、中でも強烈な印象を残す。 ラストエンペラー・愛新覚羅溥儀(あいしんかくら・ふぎ)の姪にあたり、本名は愛新覺羅顯㺭(あいしんかくら・けんし)という。 8歳の時に大陸浪人だった川島浪速の幼女となり、日本で教育を受ける。 1915年に来日した芳子は、当初、...

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愛新覚羅 浩 『流転の王妃の昭和史』

 日本が戦争の泥沼に陥りつつあった、昭和12年、旧侯爵家の長女だった浩は、軍部の仕組んだ政略結婚をあえて受け入れ、満州国皇帝の弟に嫁いだ。 日中の架け橋として、健気にその務めを果たしながら、戦後は、夫と離ればなれになり、動乱の満州を流浪。 収容所に抑留されていた夫とは、16年という長い歳月を経て、再会した。 その間、大学生の長女がピストルによる無理心中に巻き込まれる。相手は、学習院の男子学生だった。 ...

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『茨木のり子詩集』 谷川俊太郎選

 青春を戦争の渦中で過ごした女性の、悔しさと未来への夢。スパッと歯切れのいい言葉が随所に出てくる詩、主張のある詩、論理の詩。 素直な表現で、人を励まし、奮い立たせてくれる、“現代詩の長女”・茨木のり子(1926~2006年)。現代の女性詩人の中で最も人気のある一人だ。谷川俊太郎があまたある詩の中から厳選した一冊。 一番好きな詩は、「わたしが一番きれいだったとき」。中学校の国語教科書に採録されているので、ご存...

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太宰治『葉桜と魔笛』

 “太宰ファン”と呼べるほど、読んではいないが、一番好きなのは、クラフト・エヴィング商會(クラフト・エヴィングしょうかい)という装丁家がお薦めの『葉桜と魔笛』という短編小説。『新樹の言葉』(新潮文庫刊)に納められている。「桜が散って、このように葉桜のころになれば、私は、きっと思い出します」と、主人公である老夫人は語り出す。 35年前、20歳だった主人公は、18歳の病弱な妹と、明治時代の中学の校長で、厳格な...

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沢木耕太郎 『深夜特急(1)〜(6)』

「ミッドナイト・エキスプレスとは、トルコの刑務所に入れられた外国人受刑者たちの間の隠語である。脱獄することを、ミッドナイト・エキスプレスに乗る、と言ったのだ」(一巻の巻頭より)。 沢木耕太郎は、横浜国立大学経済学部卒業後、富士銀行(現在のみずほ銀行)に入行したのだが、なんと入社初日に退社してしまった。出社途中に信号待ちをしている時に退社を決めたという。 退社の理由は、「雨が降っていたせい」というが...

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大好きな本で、足の踏み場もない。

「好きな作家・好きな本」の連載ブログのために、本棚から引っ張り出した95冊の本。すべて大好きな本なのだが、部屋がいっぱいで、足の踏み場もない(笑)。 明日、本棚の元の位置に戻さなくちゃ。ノンフィクション、フィクション、伝奇小説、海外小説と分けている。もちろん、作家別に。ひと苦労だな。連載ブログは、随時アップしていく予定なので、乞うご期待。...

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プロフィール

カエルのロビン

Author:カエルのロビン
フリーランスの記者&編集者。星野源と加瀬亮が好きといえばオシャレだと思っている。何歳からアラフィフか母親と協議中。数年分の旅行記と食べ歩き日記を順次アップしていきますので、よろしくお願いいたします。
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