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お子様ランチ。

IMG_7532.jpg 松任谷由実の『守ってあげたい』を聴いている。この歌が流行っていたのは、小学校2年の頃だ。同居していた叔母が好きで、よく部屋でこのレコードをかけていた。

 あたしは、この歌が嫌いだった。不気味だったのだ。『ねらわれた学園』という怖そうな映画の主題歌だったことに加え、歌詞を聞き違えていたのが原因だった。サビの部分の「あなたを苦しめるすべてのことから」を「~すべてをここから」だと思っていた。

 聞き違いのせいで、この歌は「ほかの誰からもいじめられないように守ってあげるわ。あなたをいじめられるのはあたしだけ……」という屈折した思いを歌ったものだと勘違いしていた。

 年端のいかない子供が考えたにしては、ずいぶん奇妙な発想だと今でも思う。

 自宅で薬屋を営んでいた父親は、幼いあたしが友達の家で遊ぶのを嫌った。幼稚園の帰りに迎えに来た母と友達の家に寄り、遊びに突入したあたしを残して母が帰宅すると、すごい剣幕だったという。

「なんで、ひとりで残してきたんだ。目の届かないところで、何かあったらどうするつもりだ」。

 それならばと友達を家に連れてくれば、これまた露骨に嫌な顔をした。父親は基本的に子供が好きではなかった。家の私道で友達とふざけて走り回った日、父親に言い渡された。

「おまえの友達がうちで怪我でもしてみろ、全部お父さんのせいにされるんだぞ。友達は連れてくるな」。

 これでは誰とも遊ばずに家で静かにしているほか、父の機嫌をとることはできなかった。

 その一方で、あたしや妹がまだ幼かった頃、デパートのレストラン街をあっちを見たり、こっちを見たりしているので、母が「あなた、どうしたの?」と尋ねると、「どこのお子様ランチが一番おいしいかと思って」とぽそっと言ったという。

 父親の愛情は、ねじれたものだったけれど、子を思う気持ちはあったんだなと思う。
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カエルのロビン

Author:カエルのロビン
フリーランスの記者&編集者。星野源と加瀬亮が好きといえばオシャレだと思っている。何歳からアラフィフか母親と協議中。数年分の旅行記と食べ歩き日記を順次アップしていきますので、よろしくお願いいたします。
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